【人事担当者向け】越境学習とは?企業が注目する“新しい人材育成”のカタチ
【人事担当者向け】越境学習とは?企業が注目する“新しい人材育成”のカタチ
■ はじめに:育成の手法が限界に来ていませんか?
「優秀な人材が育たない」「若手が受け身」「変化に対応できる力が弱い」──そんな声をよく耳にします。
従来のOff-JT(座学研修)やOJT(職場内指導)だけでは、多様で不確実な時代に対応できる“しなやかな力”は身につきにくくなっています。
その解決策のひとつとして、いま企業が注目しているのが越境学習(cross-boundary learning)です。
■ 越境学習とは?──社外に出ることで、自社を再発見する
越境学習とは、自社という“内の世界”を離れ、異質な環境=“外の世界”で学ぶという人材育成のアプローチです。
例えば、以下のような体験が越境学習にあたります:
- 他業種との混成ワークショップや共同プロジェクト
- 自治体・NPO・スタートアップなどでの社会貢献型活動
- 副業や社外出向(レンタル移籍)による業務経験
- オンライン・オフラインの学びのコミュニティ参加
ポイントは、「他者との摩擦や違和感を通して、自分や自社の“前提”を問い直す」ことにあります。
■ 企業が越境学習を導入する3つのメリット
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1. 視座・視野の拡張
異なる業界や文化に触れることで、従業員の考え方に“広がり”が生まれ、変化への耐性が高まります。 -
2. 組織への還元
外部で得た知見を社内に持ち帰ることで、既存業務への新しい視点・改善アイデアが生まれます。 -
3. キャリア自律の促進
社外での経験を通じて、社員が自らのキャリアを主体的に考えるようになり、モチベーション向上にもつながります。
■ なぜ今、越境学習なのか?──VUCA時代の人材戦略
現代は「正解のない時代」と言われるVUCA環境です。自社だけの視点に閉じこもっていては、変化に適応する人材を育てることはできません。
法政大学 石山恒貴教授は、越境学習についてこう述べています:
「正解を教えるのではなく、自ら“問い”を立てて学び続ける力を育てること。それが越境学習の価値であり、これからの人材育成の主流になる」
人的資本経営が注目される中、「育てる」から「育つ環境を整える」への転換が求められています。
■ 導入のハードルと、取り組みのヒント
越境学習には「リスクがあるのでは?」「制度化が難しい」といった懸念もあります。
しかし、近年は副業・社外活動の解禁、レンタル移籍サービスなど、越境を支援する仕組みも整ってきました。
まずは以下のようなステップから始めてみてはいかがでしょうか:
- 社内で「越境体験者の声」を共有し、関心層を育てる
- 小規模な外部ワークショップや異業種交流からスタート
- 人事部門内で“試験的に”越境活動に参加してみる
■ まとめ:人を育てるには、まず「境界」を越えてみる
越境学習は、単なるスキル習得ではありません。社員が“自分を見つめ直す旅”であり、それが結果として組織の変化につながります。
人材育成に変化を求める今だからこそ、「越境」という選択肢を取り入れてみませんか?
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