【入門編】はじめての越境学習──人材育成における“越境”の意味と効果とは?
【入門編】はじめての越境学習──人材育成における“越境”の意味と効果とは?
はじめに:なぜ今、「越境学習」が注目されているのか?
「多様な価値観に触れる」「変化に強い人材を育てる」「内向きな組織を変革したい」──そんな人材育成の課題に対し、今多くの企業が注目しているのが越境学習(cross-boundary learning)です。
変化が激しく、先が読めないVUCA時代において、「正解を教える研修」ではなく、「問いを持ち、対話し、行動できる人材」を育てるために、越境学習は大きな可能性を秘めています。
越境学習とは?──“組織の外で学び、内を変える”アプローチ
越境学習とは、自社という枠(=境界)を超えて外部の世界に触れ、異質な環境の中で学ぶことを指します。
具体的には、以下のような活動が該当します:
- 異業種との合同プロジェクトやワークショップ
- 地域活動・NPO・ボランティアへの参加
- 他企業やスタートアップへの短期出向(レンタル移籍)
- 副業・兼業での実務経験
- 社外勉強会やコミュニティへの参画
ポイントは、「自社の常識では通じない環境に身を置き、そこで“揺さぶられる”こと」です。この“揺さぶり”こそが、内省や気づき、行動変容のきっかけになります。
越境学習で得られる3つの主な効果
-
視野が広がる:他者の価値観に触れ、思考の枠が拡張する
組織内では見えなかった「当たり前」が問い直され、自分の思考・行動パターンに気づくことができます。 -
対話力と共創力が育つ:異質な他者との協働経験
立場も背景も異なる相手とのコミュニケーションを通じて、共創や傾聴の姿勢が養われます。 -
自己変容が促進される:アイデンティティが再構築される
他者の視点を取り込むことで、「自分は何者か」「何を大切にしたいか」といったキャリア自律への気づきが生まれます。
実際にどんな人が参加しているの?
越境学習は、特に次のような方々に注目されています:
- 若手~中堅社員のリーダー育成
- 経験豊富だが視野を広げたいベテラン層
- 自社では“挑戦機会”が得づらいポテンシャル層
- 経営層候補として「異なる環境での適応力」を試したい人材
まとめ:越境学習は、“越える経験”から始まる
越境学習は、「正解を得る学び」ではなく、「変化の中で問いを立て、意味づけていく学び」です。
最初は戸惑いや不安もあるかもしれませんが、その“越える経験”こそが、個人の成長だけでなく、組織に新しい風を吹き込む源になります。
次回の記事では、実際に越境学習を体験した人たちの声や、企業がどのように制度設計しているかをご紹介します。
参考文献・リンク
- 石山恒貴教授インタビュー|越境学習による人材育成の可能性
- あえて一度、不安定になってみる。ビジネスパーソンに「越境学習」を勧める理由
- 越境学習で得られる意外な成果。法政大学大学院・石山恒貴先生に聞く、越境のススメ
- 石山恒貴研究室(法政大学大学院 政策創造研究科)
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